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「白ナンバー」も点呼・アルコール検査義務化へ。今から準備すべきこと

酒気帯び確認義務など、白ナンバーの運転責任が厳格化されます。
そこで今回は、対象になる白ナンバーとは、緑ナンバーと何が違うのかを簡単におさらいした後、厳格化の理由や違反した業者に課せられる措置などについてまとめました。

「白ナンバー」も点呼・アルコール検査義務化へ。今から準備すべきこと

白ナンバーの運転責任厳格化へ

警視庁は2021年9月初頭、安全運転管理者の選任事業所(白ナンバーを5台以上か、定員11人以上の車を1台以上使う事業所)に対し、運転前の点呼・アルコールチェックを義務化する道路交通法施行規則の改正案を国家公安委員会に提出、同委員会はそれを承諾しました。
※2021.11.4に道交法施行規則を改正し施行時期変更

【安全運転管理者に追加で求められる業務】
・運転の前後に、運転者に対して目視およびアルコール検知器を使用して酒気帯びの有無を確認すること。
・目視およびアルコール検知器による確認の記録をデジタルデータや日誌等で1年間保存すること。
・正常に機能するアルコール検知器を常備すること。
※2022年4月1日~:事業者が運転手の酒気帯びの有無を目視などで確認し、その記録を1年間保存する取り組み
※2022年10月1日~:アルコール検知器を常備し、上記運用する取り組み

警察庁によると、令和3年3月末現在、安全運転管理者を選任して警察に届け出ている白ナンバー事業者は全国に約34万あり、管理下にあるドライバーは約782万人。改正により全ての事業者に検知器検査が義務化され、大きな影響が及ぶと考えられます。違反した場合は安全運転管理者が解任される可能性もあります。

白ナンバーと緑ナンバーは何が違うのか

すでに両者の違いを完全に理解している人も多くいると思いますが、改めて説明すると自社の荷物や人員を「無償で運搬」する場合は、自家用車と同じ「白ナンバー(白地に緑文字)」のクルマを利用してまったく問題ありません。つまり、営業担当者が渉外活動に使っている社用車や役員送迎用の公用車、自社で製造した部品や商品などを取引先へ運ぶ配送用の車両などについては、全て白ナンバーの車を運用して良いという訳です。

一方、運賃をもらって他社の荷物や人員を運搬する場合、運輸省の許可基準を満たし厳しい審査を経て発行された「緑ナンバー(緑地に白文字)」のクルマを利用しなければ、貨物自動車運送事業法や旅客自動車運送事業法などの違反として処罰の対象となります。

とはいえ、緑ナンバーを取得しているということは、厳しい基準や審査をクリアしている証、運輸・物流業を営む業者として一定の信頼を得られるほか、自動車税や重量税が軽減されるメリットもあります。

【自動車税(2021年現在)】

最大積載量緑ナンバー白ナンバー
2トン超~3トン以下年間12,000円年間16,000円
3トン超~4トン以下年間15,000円年間20,500円
4トン超~5トン以下年間18,500円年間25,500円

【自動車重量税(2021年現在)】

最大積載量緑ナンバー白ナンバー
2トン超~2.5トン以下年間10,400円年間13,200円
2.5トン超~3トン以下年間15,600円年間19,800円
3トン超~4トン以下年間15,600円年間24,600円

たとえば、3トン超のトラック5台保有して事業をしていた場合、そのすべてが白ナンバーだったとすると、

20,500円×5台(自動車税)+24,600円×5台(自動車重量税)

という計算になり、年間225,500円の自動車税・自動車重量税が維持費として必要です。一方、陸運局の審査を受け、全てのトラックで緑ナンバーを取得すると、

15,000円×5台(自動車税)+15,600円×5台(自動車重量税)

という計算で年間130,500円、つまり年間95,000円も維持費を節約することができるのです。また、車を所有・運用する中で最も大きな負担となる車検についても、車両重量が同じであれば、白ナンバーでも緑ナンバーでも受検する頻度は全く同じ。となれば、1、2台ならいざ知らず、多くの車を所有・運用している運送業者は、経費の面でも事業範囲を広げていく意味でも、緑ナンバーを取得したほうが有利なのです。

ただし、緑ナンバーは車両重量に関わらず、3ヶ月ごとに法定点検を受ける必要があるほか、日報や点呼簿など各種帳票類の記録・保存、そしてアルコールチェックが義務付けられており、怠ると行政処分の対象として、最悪の場合は運送業許可が取り消されます。

緑ナンバーの車を使って事業を営む以上、運行の安全性を確保する様々な対策の実施が事業者に課せられますが、今回それが緑ナンバーに留まらず、白ナンバー車を一定台数以上保有している事業者まで、対象が拡大されたのです。

ちなみに、ここでいう「一定台数以上保有している事業者」とは、乗用車なら5台以上、定員11名以上の車両なら1台以上を保有し、道交法にて「安全運転管理者選任事業所」として規定されている企業や団体のこと。コスパの良さから、多くの企業で営業車として使われている軽自動車も当然規制の対象となるため、最新の届け出数によれば全国で約34万の事業者と、その管理下にある約782万人のドライバーが対象になる模様です。

白ナンバードライバーに飲酒検査を義務付ける理由・背景

これまで白ナンバーに、点呼やアルコールチェックなどを義務化していなかった理由として考えられる理由は主に3つです。1点は緑ナンバーと白ナンバーをあえて区別することで、緑ナンバーを取得した事業者に「運輸・物流のプロ」としての自覚や心構えを促すためです。もう1点は、規制の対象を白ナンバーまで広げると、余りに対象となる事業者数が膨大で、業種・車両用途も非常に多岐にわたるため、公正・公平な規制の実施と監督が、困難だからです。さらに3つ目の理由として、点呼やアルコールチェックが義務化されれば、点呼簿の管理体制の構築やアルコール探知機の完備など、事業者の人的・金銭的負担がどうしても増えることもハードルとして挙げられます。

しかし、そんな悠長なことを言っていられない痛ましい事故、いや、「事件」が起きてしまいます。それが、2021年6月に千葉県八街市で発生した「白ナンバー」の大型トラックによる小学生5人死傷事故です。男児2人が死亡、女児1人が意識不明の重体となり、男児2人が重傷を負ったこの事故を起こしたドライバーは、就業中にもかかわらず飲酒をしていたことが判明、通常の過失運転致死より重い、危険運転致死傷罪で送検されています。

この「事件」は連日のように報道され、巷では飲酒運転をしたドライバーはもちろん、ドライバー及び車両の管理者である運送会社にも責任があるという声が高まり、事態を重くみた警察などは再発防止のため、今回の規制厳格化に踏み切ったわけです。白ナンバーであれ、緑ナンバーであれ、運転や管理を怠れば尊い人の命を奪う凶器になりかねないのが車という乗り物、ましてや飲酒した状態で運転業務にあたるなんて、絶対にあってはならないし、させてはいけない行為です。

違反するとどうなる?業者が被る影響とは

今回の改正案によって、一定台数以上の白ナンバー車を保有・業務使用している業者に課せられる義務(安全運転管理者がなすべき業務内容)は、以下の3点になります。

  • 運転の前後に、運転者に対して目視およびアルコール検知器を使用して酒気帯びの有無を確認すること。
  • 目視およびアルコール検知器による確認の記録をデジタルデータや日誌等で1年間保存すること。
  • 正常に機能するアルコール検知器を常備すること

※道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案より抜粋

今回の改正により、上記の義務を果たさないこと自体に罰則は設けられていないものの、違反すれば安全運転管理者が解任される可能性があるため、必然的に日常業務が滞ることになります。なぜなら、安全運転管理者が解任されてしまうと、車両の業務利用が原則認められなくなるため、新たな管理者を選任し、その住民票や運転履歴証などの書類を揃えたうえで、事業所を管轄する警察署を通じ、公安委員会に届け出なくてはならないからです。

※届出しなかった場合、2万円以下の罰金または科料が課せられることがあります。

また、今回規制厳格化のきっかけとなったのは、自社の製品を運ぶ大型配送トラックのドライバーでしたが、今回規制の対象に加えられたのは配送トラックだけでなく、全ての業務用白ナンバー車両です。つまり、金融業や飲食業など運送・物流業に限らず、一定台数以上保有している事業者はすべて、点呼・飲酒検査の実施とその記録・管理・保存が義務付けられるほか、違反したことによる社会的制裁を受ける可能性があるということです。

事実、千葉県八街市で発生した事件で加害者となったトラック運転手は、飲酒運転による危険運転致死傷罪で送検された容疑者として、本人の氏名・年齢や経歴から、就職先の運送会社名や所在地も実名で公表され、激しい非難の的となりました。飲酒運転で事故を起こしたドライバーと、それを見逃すずさんな管理体制の運送会社に、大切な荷物や人員の輸送を任せようと考えるユーザーや取引先が果たしてどれだけいるでしょうか。

事故を起こしてしまうと、その企業の社会的信頼は地に落ち、事業の存続すら危ぶまれる状況に陥る可能性が高いため、公的な処罰の有無にかかわらず、今後はより率先した安全運転指導や、徹底した運行管理が必要になるでしょう。とはいえ、普段の業務に加え対面による点呼とアルコール検査の実施や、結果を記録する日報の製作・管理など、今回の規制厳格化によって増える安全運転管理者の業務は多岐にわたります。

そんな時役立つのが、運転日報の自動化による負担軽減だけではなく、車両のリアルタイム動態把握や、走行履歴や運転の癖をもとにした安全運転診断機能などを有する、スマートドライブのシステムです。

安全運転管理を強化し、リアルタイムとその日1日の走行状況を把握しよう

どんなに厳密な点呼やアルコールチェックを行っていても、ハンドルを握っている以上、事故のリスクはついてまわります。ドライバーがどのような運転をしているのか、安全運転管理者が常に同乗して直接、確認することは難しいものですが、事故につながる危険操作や危険要因を早急に見つけ、未然に防ぐ方法を考えることで少しでも事故の芽を潰すことができるのです。

走行状況を把握できる車両管理システムで、まずはリアルタイムでの走行状況把握と、1日、一週間、1ヶ月といった定量的な走行状況の傾向、両方に着目して管理を行っていきませんか。

スマートドライブでできる安全管理とは

スマートドライブのツールは、リアルタイムと走行データの蓄積、2つのパターンで運転傾向を把握することが可能です。

リアルタイムで把握する

スマートドライブのデバイスは、「G-Force」という、車体にかかる重力加速度を計測できる技術が搭載されており、急ブレーキ・急加速・急ハンドルといった急操作を検知した場合、事前に登録した管理者へ通知を送ることが可能です。タイムリーにヒヤリハット操作を検出・通知することで、危険な運転を繰り返しているドライバーに対し、早めに注意を促すことができますし、どの箇所でどのような運転をしたのかが走行ごとに記録されるため、安全運転管理者はデータをもとにルートの最適化が可能になります。

日々の走行データを記録し、ドライバーの運転の癖や傾向を知る

安全運転診断機能でドライバー一人ひとりの運転のクセを可視化。適切な安全運転指導が行えるようになるうえ、いつもと違う挙動が見られた時は即座にヒアリングするなど、事故が発生する前に対処することもできるようになります。

そのほか、走行データをもとにした自動運転日報作成機能、動産管理機能など、多くの機能が利用できます。

点呼やアルコールチェックも重要ではありますが、リアルタイムと日々のデータから状況を把握すること、異変に気付くことで、事故につながりそうな要因を未然に潰していくことこそ重要です。こまめにコミュニケーションをとり、日々、安全運転を意識づけることで、少しでも危険な事故を減らしていきませんか。

まとめ

「飲酒運転をしない・させない」というドライバーやその管理者が持つべき当然の意識を、白ナンバー・緑ナンバーに関わらず、「プロ」として車を業務利用している者はより強く持つべきだというのが、今回の規制厳格化の趣旨・目的です。

スマートドライブを始めとする車両管理システムを活用することで、安全運転管理者の負担を軽減できるだけではなく、何より安全管理の徹底という企業の社会的責任を果たすこともできますので、規制厳格化を機に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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