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カーディーラーが置かれている現状【後編】~収益向上のための車両管理とは~

前編では新車・中古車ディーラーそれぞれの現状と課題をあげ、収益化を図るポイントを解説しました。

カーディーラーにとって、クルマは収益を上げる商品であると同時に、かけがえのない顧客との貴重な「接点」でもあり、業務をスムーズに行うため欠かせない「道具」の側面も備えています。しかし、多くのカーディーラーは間違っているわけではないものの、収益と直結する「車両販売」に力を注ぎ過ぎているため、クルマが本来持っている接点や道具としての価値を十分に引き出せていないようです。

カーディーラーが置かれている現状の後編では、カーディーラーが年々厳しさを増す新車・中古車市場において、継続して収益向上するため必要な車両管理の具体的な活用法について、詳しく解説します。

カーディーラーが置かれている現状【後編】~収益向上のための車両管理とは~

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カーディーラーが収益を拡大するために重要なポイント

業種や規模に関わらず、会社が収益を拡大するには収入を増やしつつ支出を減らさなくてはなりません。しかし、クルマという高額商品を取引するカーディーラーにとって、収支のバランスを整えるのは非常に困難を極めるものです。そこで役立つのが車両管理システム。活用をすることで、以下で示す3つのポイントを押さえた施策を立案すれば、企業としての収益拡大の道筋が徐々に見えてきます。

ポイント1「既存顧客の維持&新規顧客の獲得」

これはすべての業界に言えることですが、アフターフォローを充実させ既存顧客を大切にキープしつつ、綿密なマーケティングに沿ったPR活動などにより新規顧客を開拓しない限り、継続的な収益拡大は実現しません。「1:5の法則」というマーケティング用語があるように、新規顧客の獲得には既存顧客と比べて5倍ものコストがかかるとされていますし、市場規模が縮小傾向にあるカーディーラー業界が新規開拓に躍起になると、それこそ収支のバランスが崩れてしまいます。

とはいえ、クルマという商品は既存顧客を維持するためのアフターフォローが、そのまま会社として重要な収入源になるうえ、詳細な既存顧客の車両情報を入手することもできます。既存顧客の「車両管理業務」をITの活用によってシステム化すれば、

  • 車検・点検状況に応じたタイムリーなDM発送
  • 個人情報を元にした販売展示会の開催・通知
  • 既存顧客層(性別・年齢・家族構成など)とマッチした商品ラインナップ

など、利益を得ながら低コストかつ効率的に新規顧客獲得に向けてのPR活動を実施することも可能です。つまり、クルマを単なる商品ではなく「接点」として活用することにより、「1:5の法則」を打破し収益拡大に向けた第一歩を、ようやくカーディーラーは踏み出せるのです。

ポイント2「リピート販売に直結するCS評価の向上」

新車・中古車に限らず、販売頻度が非常に少ないカーディーラーにとって、販促コストが少なくて済む「リピート販売」に直結する、CS(Customer Satisfaction=顧客満足)評価の向上は、収益拡大における絶対命題と言えるもの。CS評価は、顧客ニーズにどれだけ応えられているかによって、以下の「6段階」にレベル分けできます。

  • レベル0・・・「大変不満」、多くの顧客がクレームさえつけず黙って去り、二度と来店しない最悪の評価。
  • レベル1・・・顧客ニーズに「最低限」応じられている段階、怒らせるほどではないがリピート販売は期待薄。
  • レベル2・・・「不満はないが満足でもない」段階、惰性によるリピート販売はあり得るものの、紹介などによる新規開拓効果は望めない。
  • レベル3・・・「価格に見合うリターンがあった」という段階、顧客満足を提供している水準であり、徐々にリターン販売の増加や新規開拓効果が出始める。
  • レベル4・・・「期待以上」と評価される段階、リピート販売実績が飛躍的に伸び、新規開拓もスムーズになる。
  • レベル5・・・顧客に「期待」を上回る「感動」を提供している段階、この水準に達すると新規開拓は企業の手を離れ、半自動的に進捗していく。

顧客獲得競争が激しいカーディーラー業界では、ほとんどの販売店がレベル2もしくは3の段階ですが、リターン販売・新規開拓効果が顕著となる「レベル4」以上を目指し、CS評価向上への取り組みを進めましょう。ただ、レベル3とレベル4・5の間には高いハードルが存在し、それを超えるには常に変化する顧客ニーズを把握と、データ分析によって対応可能な体制を速やかに構築しなくてはなりません。

多くのカーディーラーはアンケートやヒヤリング調査の実施で、CS評価向上に向けた情報収集に励んでいますが、次にあげる3要因によって、CS評価向上につながっていないのが現状です。

1. 作業の目的化・・・情報収集するも作業に終始し、データ分析による目的達成への取り組みが一向に進んでいない。
2. 調査内容が一方通行・・・業界の常識に囚われ過ぎた結果、顧客が抱く不満要因を見逃している。
3. 各部門の連携不足・・・情報収集・データ分析・共有に至るプロセスがシステム化されていないため、各部門が孤立し効果的な改善案を策定できない。

このうち、1は「なぜ情報収集をするのか?」という基本に立ち返れば解決できそうですが、2については、業界人なら車検はあくまで公道を走行しても良い許可に過ぎないことを知っていますが、一般ユーザーは車検後すぐに故障すると強い不満を抱きます。その認識のズレが、この要因を招いているようです。

また、3についてもカーディーラーは車両販売に力を注ぐあまり、本来リピート販売に直結するCS評価向上の肝である、整備・サービス部門に対する評価や現場からの意見を置き去りにして、改善案を考えてしまう傾向にあります。このような、カーディーラー業界ならではの諸問題を解決するためには、どんな点に顧客が満足し不満を感じているのか、価格設定・接客マナー、車両・サービスの充実度、従業員の身なり・店舗の清潔感、手続き・納車・メンテナンスのスピードと正確性など、すべての部門かつ顧客目線に立った調査項目を網羅したうえで、既成概念にとらわれない斬新なアイデアを広く募るべきかもしれません。

そして、各部門の連携強化を図るうえで役立つのが、数多くの顧客情報を容易に入手可能な車両管理システムであり、CS調査結果と顧客・車両データを「紐付け・分析・見える化」することによって、レベル4以上のCS評価へ近づけるのです。

ポイント3「試乗車・社用車稼働状況の把握と最適化」

CS評価向上への道筋が見えてきたところで、話を少々実務的なことに移しましょう。カーディーラーは新車購入希望者用の試乗車はもとより、営業・代車に用いる「社用車」など、多くの車両を所有・管理する必要があります。

前編では車両管理システムの導入で期待されるメリットに触れましたが、既存顧客の確保&新規顧客の獲得と関連付けた場合、「稼働状況に応じた保有台数削減でのコストカット」こそ、最大の利点と言えるでしょう。その理由は、車両保有台数を最適化できた場合、浮いたコストをマーケティングやPR活動など、新規開拓へ回すことができるからであり、加えて労力・時間をCS評価向上に不可欠な、満足度調査につぎ込むことまで可能になります。

ただし、車両管理システムの多くで自動化される、「運行日誌」からの正確なデータ取得や、稼働状況の「見える化」による綿密な分析を実施しなければ、コストカットはおろか管理担当者の工数が増え、かえって業務が停滞する可能性もあります。

データのスムーズな利活用がカギ!収益が向上する車両管理の進め方

車両管理システムを導入しても、取得したデータを正確かつスピーディーに利活用できなくては、収益向上にはなかなか繋がりません。この項では、収益が向上する具体的な車両管理の進め方や、システムの運用方法について解説します。

ステップ1「無理のない余剰車両削減計画の策定」

まずは、代車や社用車を削減して本当に業務に支障が出ないか見極めたうえで、慎重かつ正確に「削減計画」を策定すべきであり、企業規模や保有台数にもよりますが目安として「6ヶ月間」の最大稼働台数をもとに、余剰車両をピックアップするようにしましょう。

従来の手作業による管理では、長期間にわたる稼働状況を把握するのが大変ですが、車両管理システムなら稼働状況を簡単に整理できるほか、表やグラフなどで可視化、共有することも可能なため、無理のない削減計画を練り上げることができます。

ステップ2「車両管理データの見える化・共有による生産性向上」

前述したデータの見える化と共に、従業員同士での情報共有を徹底しましょう。そうすることで、保有車両の稼働状況を誰もが直接目で確認できるため、試乗車・代車のタイムリーな手配・予約など、業務効率化による生産性の向上やCS評価UPを期待できます。

また、個人情報の取扱いには留意すべきですが、代車へ車両管理システムを搭載することにより、顧客の行動範囲を知ることもできるためCS調査で得たデータと紐付けすれば、より効果的な企業戦略を練ることも可能です。さらに、販売実績に優れる営業マンからの代車・試乗車予約を、他の従業員より優先させたり、稼働率と採算性の高い部署に多くの社用車を配置したりするなど、会社にとって大きな財産である車両を、より有益な「道具」として活用することも可能になります。

ステップ3「カーシェア・レンタカーの併用」

これは、すでに多くのカーディーラーが実行している施策ですが、社用車や代車をカーシェアにスイッチしたり、サブディーラーや小規模中古車店などで一時的に車両が必要な場合はレンタカーを活用したりするなど、柔軟な活用をする企業も増えてきました。

カーシェア・レンタカーの併用は、車両購入・維持コストの節約が可能なため、収益向上にもつながる有効な施策です。しかし、ドライバーの過失による事故で車両が破損した場合、付随する保険が適用されず修理費を弁償しなければならない可能性があります。前編をご覧いただいた方ならココでピンと来るはずですが、車両管理システムには高度な安全運転診断機能を備えた商品・サービスも多いため、利用するシェアカー・レンタカーへの車載デバイス設置によって、過失事故を大幅に抑制することもできます。

また、社用車をカーシェア・レンタカーへ転換するだけではなく、役目を終えた試乗車や売れ残った新車、及び回転率が芳しくない在庫中古車を活用し、カーシェア・レンタカービジネスに参入、新たな収益源を確保している大手ディーラーも存在します。こうした方向性へと舵を切るのも、施策の一つだと言えるでしょう。

まとめ

人材不足や働き方改革、さらには、移動へ大きな変革をもたらす「MaaS」の推進に伴い、車両管理が果たす役割・メリットは多様化しています。カーディーラーが生き残るには、企業規模に関わらずITシステムをうまく導入・活用し、収益向上を見据えた業務改善計画を策定すべきでしょう。また、中小ディーラーが単独参入するのは困難なものの、クルマの所有から共有へユーザーニーズが変貌しつつある点を鑑みると、複数業者によって連合体を組織しシェアリングビジネスへ参入すべき時代が、すぐそこまで近づいているのかもしれません。

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