購入、マイカーリース、カーシェア、レンタカーそれぞれの特徴まとめ
「クルマは購入するもの、自分で所有するもの」ほんの数年前、十数年前までは当たり前だったクルマに対する価値観も、近年では徐々に変化が起こってきています。
それはクルマを現金で購入するかマイカーローンで購入するかといったクルマの購入方法に限った話ではなく、マイカーリースやカーシェアリング、レンタカーの利用など、そもそも「所有しない」というクルマの利用方法を根本から変えるサービスが普及し始めていることからも明らかです。
そこで今回は各サービスごとにどのような違いがあり、それぞれどのような用途に向いているのかを考えてみたいと思います。
目次
多様化するクルマの利用形態
実際に試してみるとわかりますが、クルマの利用形態ごとに「所有者」「使用車」「車庫が必要かどうか」「税金の納付」「自動車保険の加入」など様々な違いがあります。
個人が自分専用としてクルマを利用できるのが、現金・マイカーローンで購入する場合かマイカーリースです。自分のクルマとしていつでも自由に使うことができます。
一方でカーシェアとレンタカーはあらかじめ予約、申込みが必要でレンタカーはその都度レンタル契約も必要になります。また全て貸し出されていた場合には利用できませんし、必ずしも毎回自分の好みのクルマを借りられるわけではありません。ナンバープレートは「わ」ナンバーです。
カーシェアやレンタカーとひとくくりにしていますが、その中でも仕組みや特徴は異なります。たとえばレンタカーの中でも近年格安レンタカー会社も多くなり、手ごろ料金でクルマを借りられるようになりました。また個人向けだけではなく、法人が使いやすいように設計されたプランも登場しています。
所有者 | 使用者 | 車庫 | 税金 | 自動車保険 | |
現金購入 | お客様名義 | お客様名義 | 必要 | 納付 | お客様加入 |
マイカーローン | ディーラー又はクレジット会社名義 | お客様名義 | 必要 | 納付 | お客様加入 |
マイカーリース | リース会社名義 | お客様名義 | 必要 | 不要 | お客様加入 |
カーシェア | レンタカー会社名義 | レンタカー会社名義 | 不要 | 不要 | 加入済 |
レンタカー | レンタカー会社名義 | レンタカー会社名義 | 不要 | 不要 | 加入済 |
現金・マイカーローン購入のメリットとデメリット
現金・マイカーローン購入の最大のメリットは、自分のクルマとしていつでも自由に使えることです。ドレスアップをしたいユーザーは自由にカスタマイズもできます。もちろんクルマが不要になったら手放したいタイミングで売却することが可能です。
ただしローンで購入していて売却価格 < ローン残金の場合には、一括返済または新しく購入したクルマのローンに上乗せしてローンを組んで、一括返済する必要があります。
現金・マイカーローン購入のデメリットは、現金購入の場合は当然まとまったお金が必要になるということです。マイカーローンの場合は、まとまったお金は必要ありませんが、金利がかかるため支払総額は現金一括購入の際より多くなります。また、車検や自動車税はその都度大きな出費となるため、ある程度前もって予算を組んでおく必要があります。
マイカーリースのメリットとデメリット
マイカーリースのメリットは、現金・マイカーローン購入と同じように、自分のクルマとしていつでも自由に使えることです。また、毎年の自動車税はリース料に含まれることが多く、車検基本料および車検の際の自動車重量税、自賠責保険料、半年ごとの点検、オイル交換料なども含まれるプランもありますが、基本的に月々定額の支払いで車を持つことができます。購入した場合と違い、出費が均されているので、時期によって多額の支払いが生じるというようなことを避けることができるのが特徴です。
一方で、マイカーリースのデメリットは、自分の車になるまでに支払うリース料がマイカーローンと比較すると割高になること。そして自分のクルマになるまでは勝手に売却できないという縛りがあることでしょう。
たとえば5年リースでは自分のクルマにならず返却か再リースの選択になることが多く、7年以上のリース契約時に契約満了で自分のクルマにできる契約もあったりします。このあたりはリース会社やプランによっても異なるのでリースを選択する場合は自分にあったものを吟味してください。
マイカーリースの場合、契約走行距離があることが多いため走行距離が多くなりそうな人は事前に確認しておくことをおすすめします。また返却時には純正の状態に戻すことが基本になるので、カスタマイズしたい人は要注意です。
カーリースについてはこれまでも複数回紹介しています。詳しい特徴や金額シミュレーションなどはこちらの記事も合わせてチェックしてみてください。
■個人カーリースのメリットとデメリット【金額シミュレーションあり】
■【比較シミュレーションつき】 法人なら購入よりカーリースが本当にお得? その仕組みを徹底解説
カーシェアのメリットとデメリット
カーシェアとはカーシェアリングの略です。大きく分けて事業者の保有するクルマをシェアする事業型と、個人間で車をシェアする個人型のカーシェアがあります。たとえば知名度が高いタイムズカープラスは事業型のカーシェアです。
カーシェアのメリットは車の維持コストがかからず、必要な時にだけクルマを予約し利用できることです。指定の駐車場に停めてあるクルマを事前にパソコンやスマートフォンで予約しておけば、決まった利用時間内はマイカーのように利用できます。レンタカーのように店舗で手続きする必要もありません。
タイムズカーシェアの場合は月会費個人の場合1,030円で15分毎206円(税込)の利用料金です。月会費は利用料金に充てられるため、1時間15分以上の利用で1,030円になり、月会費は実質無料になります。燃料代、保険料も全て利用料金に含みますので安心です。クルマの保管場所も不要で、月々の駐車料金がかからないのが特徴です。
短距離短時間のクルマを頻繁に利用したい方や、月に数回だけ車が必要な方に向いているサービスです。駐車場が家にない人でも気軽に使えます。
一方で、カーシェアのデメリットは、そもそも家の近くにカーシェアステーションがあるかどうかということや(地域によってかなりばらつきあり)、あったとしても使いたい時に使えるとは限りません。特に週末・祝日・連休時など、車を使いたいというタイミングは往々にして似通ってしまったりするもの。必要な時に使えないのであればいくら安くても利便性が大きく損なわれてしまいます。また、必ず借りたステーションに車を戻す必要があるので、乗り捨てや、違うステーションに返却するということは原則できません。
さらに、車は返却予定時刻までに借りたステーションに返却しなければならないため、状況に応じて利用時間を柔軟に変更できない場合もあります(すぐ後ろに他の予約が入ってしまっていた場合)。また、全体の利用時間に対して課金がされるので、実際に車に乗っている時間ではなく、買い物や食事の時間など、車を確保している時間中ずっと課金されます。状況によっては、タクシーを使った方がむしろ安かった、なんてことにもなりかねません。また、長時間使う場合はレンタカーの方が割安になってしまうようなケースもあります。
レンタカーのメリットとデメリット
レンタカーのメリットは、仕事先や旅行先などで一定期間車を利用したいときに使いやすい設計になっていること。大手レンタカー会社では、返却は借りた店舗ではない別の店舗に返す「乗り捨て」も可能だったりするので、目的地付近にある店舗までの片道利用などにも利用できて便利です。また、カーシェアは短時間利用では割安ですが、1日以上などの期間になるとレンタカーの方がお得なケースがほとんどです。
一方で、レンタカーのデメリットは、一部を除き、借りたり返したりできる時間帯が各店舗の営業時間に依存するということがあります。カーシェアでは基本24時間いつでも返却時間を決めて返却できますが、レンタカーは店舗スタッフと接して返却手続きを行うため、24h受付している店舗は限られてしまいます。
そのため早朝出発予定の場合には、前日からレンタカーを借りておく必要があったり、深夜等遅い時間に返却したいような場合も翌日の営業開始時間まで待つ必要があるので、その分割高になってしまう可能性があります。また、カーシェア同様、借りたい時に借りたい車が空いている保証もありません。
注目を集める格安レンタカー
近年では料金の安さを特徴とした、格安レンタカーが注目を集めています。
たとえば以下は大手レンタカーのニッポンレンタカーと、格安レンタカーで知られるニコニコレンタカーの料金を比較したものです。
6時間まで | 12時間まで | 24時間まで | |
軽乗用車 K-Aクラス | 5,940円 | 5,940円 | 7,344円 |
コンパクトカー S-Hクラス | 6,408円 | 6,408円 | 7,668円 |
エコカー E-Sクラス(アクア等) | 8,208円 | 9,288円 | 10,908円 |
6時間まで | 12時間まで | 24時間まで | |
Kクラス | 2,400円 | 2,700円 | 4,100円 |
Sクラス | 2,500円 | 2,900円 | 4,300円 |
GPクラス(アクア等) | 5,700円 | 6,600円 | 8,200円 |
同じ車種クラスで比較してみると、大手レンタカー会社の料金よりも半額以下で借りられるケースもあります。
どちらも自動車保険は標準で加入していますが、万一の際の免責額をゼロにする免責補償制度は共通です。
大手レンタカー会社の場合レンタカーは新車を使用しています。一方で格安レンタカー会社は一度大手レンタカー会社で使用した中古車やリース契約の終わったリースアップ車など中古車を使用しているのが特徴です。
さらに片道だけの利用など「乗り捨て」「ワンウェイレンタル」と呼ばれるサービスは大手レンタカー会社ではオプションでありますが、格安レンタカー会社にはありません。
ノンオペレーションチャージにご用心
レンタカー利用時には細心の注意が必要です。自動車保険は加入しているので安心ですが、ノンオペレーションチャージを忘れてはいけません。
万一の事故の際にレンタカーで自走し返却予定の営業所、店舗に返却された場合には20,000円、自走不能で返却予定の営業所、店舗に返却できなかった場合には50,000円が請求されます。たとえ自走可能な状態でも路上放置し返却予定の営業所、店舗に返却できなかった場合にも50,000円が請求されます。
ノンオペレーションチャージは免責補償と異なります。免責補償は自動車保険の部分の免責金額を0円にするオプションですが、ノンオペレーションチャージは、レンタカー会社が次のお客様にクルマを貸せない営業補償という位置付けです。
上記ノンオペレーションチャージの金額は、大手レンタカー会社、格安レンタカー会社問わず共通の金額です。
さらに広がるクルマの使い方
冒頭でも触れたとおり、「クルマ=購入するもの」という時代は徐々に変わってきています。先日別の記事で紹介しましたが、今やトヨタがカーシェア事業用のアプリを実験していたりするのですから。将来自動運転車が普及すれば、今では想像できないようなクルマの使い方も生まれてくるでしょう。今回の記事では触れていませんが、タクシーのような利用の仕方もある中で、タクシーが今では考えられないくらい激安になるような時代も来るかもしれません。
今後は、そういったクルマの使い方の多様化に伴い、それを利用するユーザー側がそれぞれの特徴をちゃんと把握し、自分たちのニーズに合った使い方をしていく社会に向かっているのではないでしょうか。