ETC2.0とは?ETCとの違いやメリット、人気の車載機などを解説
高速道路を使用する際に活躍するETC(Electronic Toll Collection System)の技術。その従来のETCよりも更に進化した「ETC2.0」が2016年の春を境に本格導入が決定しました。国土交通省が推進しているということもあり、今後はETC2.0の普及がますます広がり、旧型のETC車載器が廃止されるのではないかと予測されています。
しかし、高速道路をあまり活用しない人には馴染みがなく、どんなサービスがあるかも分からないのが現状のようです。今回は「何のメリットがあるのか?」「どんな車載器があるの?」などの疑問にお答えし、新しい高速道路交通システムである「ETC2.0」について簡単にご紹介します。
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目次
ETC、ETC2.0とは
ETCとは高速道路における交通システムの一つであり、有料道路を使用する消費者に対して、料金所で停止することなく通過できるシステムのことです。冒頭でも触れように Electronic Toll Collection System の頭文字をとってETCと呼ばれており、正式には「電子料金収受システム」と訳されます。
過去の高速道路における料金所では、人の手による料金の受け渡しが一般的となっていましたが、無線技術やクレジットカードサービスが発展したことにより、近年ではETC車載器を搭載するクルマが急激に増加しました。
ETCを搭載するメリット
ETCを搭載するメリットとして、個々のクルマが料金所をノンストップで通過できるため、高速道路における渋滞の緩和に繋がります。また、ETCの独自のサービスとして道路料金の割引制度があり、利用する期間や時間帯によって料金が値引きされます。
これらのサービスは全国の高速道路会社によって値引き率が異なりますが、主に「休日割引」と「深夜割引」がありますので、ネットで詳しく説明しているサイトを調べてみましょう。
ETC2.0とは、ETCがバージョンアップしたもの
そして本題である「ETC2.0」ですが、こちらは従来のETCがバージョンアップしたものとなり、自動料金収受のサービスはもちろんのこと、ITSスポットでの渋滞回避支援や安全運転支援などの恩恵を受けることができます。特に目玉となるのが「首都圏の圏央道の料金水準が約2割引」となる特典です。
ETC2.0の特徴やメリット
圏央道の料金が更に2割引き
2015年までは圏央道経由の走行が都心経由よりも高い金額となっていました。2016年からETC車載器搭載のクルマを対象に双方の料金が統一され、ETC2.0では圏央道の料金が更に2割引きとなるサービスが実施されています。
首都圏の高速道路を頻繁に活用する「貨物運送会社」や「営業交通機関」にとっては特に大きなメリットとなるでしょうし、もちろん通勤などで有料道路を使用する一般ドライバーにも恩恵があります。
渋滞緩和に貢献すると料金割引
またETC2.0では、システムのアドバイスにより渋滞を避けたルートを選択しますと、有料道路の割引が適用されるというサービスが予定されています。
たとえば都市圏で渋滞の激しい場所があった場合、空いている環状道路などを使用して目的地に向かいますと「渋滞緩和に貢献した」とシステムが認識するため、料金所で割引が適用されるというものです。
道路交通情報や周辺の観光情報が手に入る
全国に設置しているITSスポットから、ETC2.0を活用して最大1,000km区画の道路状況をカーナビに反映することができます。このITSスポットはインターネットを活用した情報システムのため、渋滞情報や交通事故の状況を事前に把握できるようになりますし、交通情報だけでなく周辺の観光スポットなども教えてくれます。
情報を受け取る時は、所定の駐車スペースに停車してETC2.0対応のカーナビにデータを転送するため、スマホなどが手元にない場合は活用してみることをオススメします。高速道路における交通情報サービスは電波ビーコン(2.4GHz)を使用していますが、2022年4月以降はETC2.0を活用したITSスポット情報提供サービスに一本化されるため、これに合わせて車載器を買い替える方も増えると予測されています。
ETC2.0と助成金
ETC2.0では「再セットアップサポートキャンペーン」として、最大2,700円の助成金が支給されます。期間は2017年9月30日(土)までとなり、2015年6月30日以前に購入し、再セットアップを目的としたETC2.0対応車載器が対象です。再セットアップ後に申込書のアンケートに回答し、所定の機関へ送付後に手続きが完了します。
対象外となるのは以下の条件です。
・ETC車載器(ETC2.0のセットアップは不可です)
・2015年7月1日以降にセットアップ済のETC2.0車載器
・NEXCO 東・中・西日本の3社が実施した「走行経路確認社会実験モニター」に応募した車両に装備しているETC2.0車載器
ETC2.0の使い方
ETC2.0対応車載器を用意
ETC2.0を使用するには「ETC2.0対応車載器」が必要です。新サービスを受けるには2015年7月1日以降にセットアップを完了した車載器が必要ですが、新商品を購入すれば基本的には問題なく機能します。
ETCカードを用意
そして従来の製品と同様に、車載器に搭載する専用の「ETCカード」を用意しましょう。ETCはクレジット会社を通して料金を精算するシステムのため、所定の手続きを終えたカードを発行してから車載器に挿入してください。
ETC2.0に対応するカーナビやスマホがあると便利
また、ETC2.0をフル活用したい場合は、システムに対応するカーナビやスマホを用意しておくとより便利になります。近年では、ETC2.0に対応するカーナビも発売されているため、商品を購入する前にカタログなどに目を通して購入することをオススメします。
車載機の取り付けが不安なら専門店へ
ETC2.0の車載器は、ディーラーやカー用品店、自動車整備工場などで取り付けてもらうことができます。
ETC関連の車載器取り付けは専門的な知識と技術が必要となるため、自動車のメンテナンスに慣れていない方は、専門店に任せればトラブルを避けることができるでしょう。また、ETC2.0車載器ではETC部とDSRC部を同時にセットアップすることが必要となり、使用するクルマの車両情報を暗号化して書き込むため、こちらの作業も専門店にお任せすることになります。
ETC2.0車載機のタイプ
もう少し詳しくETC2.0の車載機について触れておきましょう。大きく分けて3つのタイプがあります。
カーナビゲーションと連動するタイプ
販売されているカーナビの中には「ETC2.0対応」という商品が存在します。ETC2.0を通して音声や画像を表示することができるため、道路状況の把握や観光情報などのサービスを受けられます。
GPSと連携する発話型のタイプ
画像の表示はありませんが、音声により情報を得ることができる”発話型”の車載器です。
スマホと連動するタイプ
「ETC2.0対応アプリ」をインストールしたスマホを接続し、画面を通して情報やサービスを活用することができる車載器です。
人気のETC2.0車載機紹介
ETC2.0に対応する車載器は毎年次々と発売されています。その中でも特に注目を集めている商品をこちらでご紹介します。
パナソニック「CY-ET2000D」
薄さとコンパクトさを追求した車載器。本体が小さいため、コンソールボックスやグローブボックスの中にも搭載が可能です。
パイオニア「ND-DSRC3」
ETCカードを挿入するとアンテナ部のLEDが点灯。更にカーナビの画面でも挿入したことをお知らせするため、安心してETC料金所を通過することができます。
三菱電機「EP-E216SB」
GPSとスピーカーを車載器に搭載しているため、カーナビと接続することなくETC2.0サービスを受けることができる発話型の商品です。
ETC2.0に対応したカーナビ紹介
ETC2.0の本格導入が決まり、それに合わせて新しいカーナビも続々と登場してるので、ETC2.0に対応する最新カーナビを紹介します。
三菱電機「DIATONE SOUND. NAVI NR-MZ200PREMI」
スピード・画質・デザインを極めた他の追随を許さないカーナビ。次世代クアッドコアCPUを搭載し、幅広い音楽ファイルにも対応する優れた商品です。
パイオニア「楽ナビAVIC-RL900」
誰でも簡単に扱える高度なナビ機能を搭載。カーナビならではの心配りで、お出かけからお帰りまで快適なドライブをサポートします。
スマホと連携するETC2.0車載器
スマホと連携するETC2.0の車載器も世に登場しつつあります。こちらではスマホに情報の転送が可能な商品をご紹介します。
デンソー「DIU-A050」
全国に設置されたITSスポットから配信されるデータを車載器がキャッチし、Bluetooth通信を通してお手元のスマホにデータを転送。スマホの画面を通して、道路の交通状況や安全運転支援に関する情報を得ることができます。
ETC2.0って本当に便利なの?
今のところ恩恵を受ける人は一部
ETC2.0のサービスは、2016年の春から本格的に導入が推進されていますが、まだ始まったばかりなので、今のところ恩恵を受けている人はそこまで多くありません。首都圏における一部地域での割引を強みとしていますが、正直東京に用事がない人にとってはあまり意味がないサービスかもしれません。
今後は「渋滞の少ないルートを走行」したことによる割引サービスに期待が寄せられていますが、こちらも現在(2017年3月)では目立った成果が得られていない感想が多いようです。また、ITSスポットが全国に設置されているとはいえ、インターネットを活用するのであればスマホやタブレットを使う人が多くなっているので、こちらもETC2.0のメリットを感じ辛いかと思われます。
従来のETCで十分という人も
ETC2.0を搭載するには、車載器の取り付けによる手数料を含めて3万円ほどの支出が必要となります。助成金を活用すれば少しだけ安くなりますが、すでにETCを搭載しているドライバーには不必要と考える人もいるでしょう。
今後ETC2.0を活用したサービスは増えるかもしれませんが、基本は「自動料金収受サービス」がしっかり機能していれば問題ないため、さらに優れたサービスや機能の創出が必要となるかもしれません。
現状のETC2.0は消費者側に利点が大きいサービスというより、ビッグデータを活用して交通量を調査したり、交通事故による渋滞の状況を把握するなど、どちらかといえば企業や法人、公共機関側にメリットのあるシステムです。料金の割引サービスはすでに当たり前となっているので、ETCの進化により必要なデータを集計し、安全性を配慮したインフラの構築に企業や政府が力を注いで欲しいと願っています。
ETC2.0の今後に期待
「ETC2.0」はまだまだ始まったばかりのサービスのため、世間の認知度も低く、そのメリットを感じ難い状態です。しかし、インターネットを活用して他のデバイスと連携することは、どのシステムでも必要となってきますので、ETCのバージョンアップも決して悪い傾向ではないと考えます。
今後はETC2.0を活用した渋滞の緩和に努めるサービスを強化し、交通状況の改善を目指して欲しいですね。