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もっと減らせる?「トラックの交通事故」とその対策とは

物流業界において、トラックをはじめとした貨物用自動車の交通事故の減少は常に大きな課題となっています。
トラックによる交通事故は、ほかの自動車も巻き込む大惨事に繋がりやすいものであるため、全日本トラック協会が主体となって、できるだけ事故を起こさないための取り組みを業界全体で行っています。

では実際、トラック事故の発生件数はこの数年間でどう変化しているのでしょうか?今回はトラック事故の実態と、それを減少させるためのトラック業界の取り組みをご紹介します。

もっと減らせる?「トラックの交通事故」とその対策とは

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トラック事故の「発生件数」と「事故の原因」

年々減っている?トラック事故

トラックによる交通事故の発生件数は、実は年々減少傾向にあるといいます。

全日本トラック協会が2016年7月に公表した『事業用貨物自動車の交通事故の傾向と事故事例』という資料によると、2015年中に事業用貨物自動車が第一当事者となった交通事故の発生件数は、16,156件だったそうです。2010年の21,049件から毎年約800件のペースで減っており、今後もトラック事故の件数は減少されていくことが予想されています。

トラック事故のほとんどは追突が原因!?

また同資料では事故類型詳細区分別件数についても発表しており、事故類型の構成率でいうと「追突」が52.9%(高速道路に限定すると69.7%)と、全体の半数以上を占めています。

ウィキペディアでは追突事故のことを「停止または低速で前進している車両の後部に、後続の車両が前進して衝突する類型の交通事故」と定義しています。つまりトラック事故の多くは、ドライバーの運転ミスまたは不注意だけで起きているわけではないのです。そして、追突事故は必ずしも「追突した側」が原因であるとは限らず、なかには無理な割り込みや自身の不注意が原因で追突されてしまったドライバーもいるのでは、と見られてます。

トラックドライバーは交通事故を起こさないという心構えを前提として、穏やかな発進と加速を行いゆとりある定速での走行を励行すると良いでしょう。また、運転中に遭遇する様々な交通場面において、事故の原因となりうる危険要因を予測し、的確に回避するための予知運転や防衛運転への心がけも大切です。

全日本トラック協会が策定した『トラック事業における総合安全プラン2009』とは?

トラックによる交通事故の発生件数が年々減少しているのは、トラック業界全体が事故を少なくするための努力をしているからに他なりません。そのための具体的な取り組み内容を事業者に与えるために、全日本トラック協会が2009年11月に策定したのが『トラック事業における総合安全プラン2009』という計画。

これは同年3月に国土交通省が『事業用自動車総合安全プラン2009』を策定したことを受けて、その目標を達成するために全日本トラック協会が独自に策定したものです。

営業用トラックが原因となる交通事故死者数、交通事故件数を減少させ、有責死亡事故の撲滅を図ることを基本目標としています。

また、数値での目標は2018年までに交通事故死者数を220人以下、人身事故件数を15,000件以下にして、飲酒運転をゼロにすることです。
事業用トラックを第一当事者とする死亡事故件数を車両台数1万台当たり「2.0」件以下とし、各都道府県(車籍別)の共有目標としています(2015年3月の中間見直しの際に追加されました)。

『トラック事業における総合安全プラン2009』の具体的な取り組み

全日本トラック協会は各目標を達成させるために、「講ずべき対策」として各トラック事業者に以下のような取り組みをするように呼び掛けています。

安全体質の確立

①全日本トラック協会が開催する講習会に参加したり、導入事例集や視聴覚教材などのツールを使って「運輸安全マネジメント」の普及・浸透に努めること。
②国土交通省が作成した「指導・監督マニュアル」および「運転者の健康管理マニュアル」の内容を、運行管理者やドライバーに周知徹底すること。
③悪質違反や社会的影響の大きい事故の情報を収集し、ドライバーの教育・指導に役立てること。
④国土交通省のメールマガジン「事業用自動車安全通信」の活用方法を運行管理者などに周知徹底すること。
⑤ドライバーなどを研修施設に派遣して安全教育訓練を実施し、安全意識の向上に努めること。
⑥全日本トラック協会が作成した安全運転教育用教材資料を活用して、安全運転教育の促進や安全意識の向上に努めること。

コンプライアンスの徹底

①従業員がトラックの不正改造を行わないように指導すること。
②荷主や元請事業者からの無理な運行契約、過積載、不当な値下げ要求などに対して毅然とした態度で対応すること。
③日常点検および定期点検を確実に実施し、安全確保に努めること。
④一定の評価基準を満たした事業所に与えられる「Gマーク」の取得に向けて努めること。

飲酒運転の根絶・危険ドラッグ等薬物使用による運行の絶無

①飲酒運転を防止するための管理体制を強化し、マニュアルを使用して運行管理者およびドライバーに定期的に指導・教育を実施すること。
②点呼時にアルコールチェッカーの使用を徹底し、その結果を1年間保存すること。

IT・新技術の活用

①マニュアル活用によるソフト面とEMS機器導入などのハード面の両方から、エコドライブを推進すること。
②「衝突被害ブレーキ軽減システム」や「後方視野確認支援装置」の導入を推進すること。

運行の現場を含めた関係者一体となった行動、構造的な課題への対処(2015年3月の中間見直しの際に追加)

①「トラック追突事故防止マニュアル活用セミナー」や「交差点における事故防止セミナー」などのセミナーに参加し、交通事故防止への意識を高めること。
②事業者やドライバー向けに作成された安全運転教育用教材資料の内容を、運行管理者やドライバーに周知徹底すること。

道路交通環境の改善

高速道路などの事故多発地点や道路危険個所等の情報を収集して、道路管理運営会社などに改善を要望すること。

まとめ

上で見てきたような事項の具体的な取り組み例としては、社団法人兵庫県トラック協会ではトラック事故の防止策のため、ドライバーの安全意識と運転技能向上を図る「トラックドライバーコンテスト」を開催したり、運転管理者やドライバーを対象とした安全確保の装置導入や安全教育訓練の受講費の助成を行っているそうです。

こういった取り組みを各事業者が率先して行っていくようになっていくと、ドライバーの意識自体も少しずつ変わっていく可能性があると思いますし、実際の労働環境の改善と合わせて行っていくことで、今後もさらに事故や危険運転が減少していくようなトレンドをつくっていけると良いのではないでしょうか。

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