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トラック配達の「配送ルート最適化」。実現するのは本当に不可能?

どの車両がどの集配先に、どの順番でどの様な経路で回るのか最適であるのかーー。
配送業務における配送ルート最適化に関する問題は、すべての物流会社にとっての永遠の課題であるといえるかもしれません。なぜなら、効率良く配送業務を行うために考えられる方法はあまりにも多く、また数字だけでは表わせられない要素もたくさんあるため、いくら優秀なシステムを導入しても本当の意味で「最適」と呼べるルートを見つけることができないと言われているからです。

では具体的に配送ルートを決める上ではどのような問題点があり、それに対して物流会社はどう立ち向かっていけばいいのでしょうか?知れば知るほど奥が深い「配送ルート」、その課題と解決の糸口を探ります。

トラック配達の「配送ルート最適化」。実現するのは本当に不可能?

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ヤマト運輸が実践している「バス停方式」とは?

最近、ヤマト運輸の配送トラックが走っているところを見かける機会が少なくなったと思いませんか?

実は2010年ごろからヤマト運輸では、「バス停方式」という配達方法を全国で実践しているのです「バス停方式」では、配送ルート内の決まった場所にトラックを一時停止させ、そこから「フィールドキャスト」と呼ばれる専門スタッフが台車や自転車を使って荷物を配達しています。

フィールドキャストはその地域を生活圏内とする土地勘のある女性パートタイマーを中心に構成されており、この配達方法を導入してからは少ない台数・少ない走行距離で効率良く配達業務を行えるようになったそうです。

この「バス停方式」を採用している大手物流会社は、今のところはヤマト運輸だけのようです。導入の最大の目的は、CO2の排出量を削減して地球温暖化を防止することにあるそうですが、もしかしたらこの「バス停方式」が、配送ルート最適化問題を解決する上で最も答えに近い方法であるといえるかもしれません。

配送ルート最適化問題の解決が難しい理由

配送ルート最適化の難しさについては、理論立てて語り出せばきりがありません。そもそもどのような状態であれば「配送ルートが最適化された」と呼べるのでしょうか?順を追って考えていきましょう。

3つの部分的問題点

まず、最適な配送ルートを見つけるためには、以下に挙げる3つの部分的問題点をすべて解決しなければなりません。

①トラックへの配送先の割り当て

どのトラックがどの配送先を担当するか?

②配送先の巡回順

担当する配送先をどんなルートで巡回するか?

③経路

配送拠点から配送先へ、または特定の配送先から別の配送先へ移動するときに、どのような経路を辿ればいいか?

これらの部分的問題点は常に相関関係にあり、実際に配送ルートの最適化を検討する上では分離して考えられないものとなっているのです。

上記の説明だけでも、いかに最適な配送ルートを見つけることが難しいかがお分かり頂けたかもしれませんが、もう少し具体的にご説明していきましょう。

選択肢が多すぎる

「配送先」と「使用するトラック」の数が増えるほど、配送ルートの選択肢も多くなります。

たとえば配送先が全部で18ヵ所あり、それを3台のトラックで6ヵ所ずつ担当するとした場合、考えられる選択肢は18の階乗、つまり約6424兆通りも配送ルートの選択肢が存在してしまいます。

計算している時間がない

もし上記のような条件で「総当たり方式」で一番良い選択(最適解)を求めようとすれば、どんなに優れたコンピューターを使っても1日以上、長ければ数日間は計算に時間が掛かってしまいます。

そんな長い計算を待つ時間など、実際の物流の現場には無いことでしょう。

訪問するタイミングの考慮

配送先のなかには配送時間を指定しているところや営業時間が決まっているところも多く、配送ルートを決める際にはこういった訪問時刻の制約にも縛られることになります。

また荷物の積み込みや積み下ろしに時間が掛かってしまう場合もあるため、各配送先の滞在時間についても常に考慮しなければなりません。

 ドライバーに平等に仕事を与えなければならない

実際に荷物を運んでいるのは機械ではなく、ひとりひとりのトラックドライバーです。

そのためいくら良い配送ルートが割り出せたとしても、特定のトラックだけ総移動時間が極端に長くなってしまうと、そのルートを任されたドライバーは仕事に不満を持ってしまいます。

またドライバーを休みなく働かせるわけにはいかないため、配送ルートは休憩時間と場所も考慮をした上で考える必要があります。

システム会社が提供する配送ルート最適化サービスの例

最適な配送ルートを決めるのは現段階では不可能に近いと言われていますが、配送業務を行う際にはシステムの力を借りて「最適に近いであろうルート」を辿ることができます。

そこで、現在国内のシステム会社が提供している、配送ルート最適化サービスを3つご紹介します。

GuRutto(グルっと)

富山市のGISを中心としたシステム開発を行う「株式会社ジオインフォシステム」が提供する、インターネットのクラウド上で利用できる最適ルート自動作成システムです。これは、配達先の住所リストを取り込み、地図上の複数地点をグルっと一筆描きするような感覚で効率的なルート作成を支援してくれるというもの。

ブラウザ上で表示される地図はGoogleマップを使用しており、見慣れた地図にアイコンが表示されるようになっています。登録すれば無料での利用もできるので、一度試してみたいという方にはいいかもしれません。

輸送経路最適化コンサルティング

日本を代表する総合エレクトロニクスメーカーの富士通が提供する、効率的な配送ルートをシミュレーションしてくれるコンサルティングサービスです。

「車両台数最小化」「総走行距離最小化」「積載率最大化」などの目標ごとにシミュレーションをすることができ、配送業務におけるコストやCO2排出量の削減を図ることができます。

また、2016年の6月1日より、輸送事業者の輸送コスト削減に向けて、最適な物流拠点や輸送経路を可視化して提示するという「FUJITSU インテリジェントデータサービス 物流プローブ分析 輸送コスト適正化支援サービス (SoXYZ(ソクシーズ))」の販売を開始しています。

このサービスは、日本全国を通行する貨物トラックのうち2016年3月末時点で約7万5,000台が装着している同社グループ製のネットワーク型のタコグラフから収集・蓄積する走行実績データをもとに、トラックの出発・到着地点や日時などの輸送情報を解析したうえで、物流拠点や輸送経路の見直しによる輸送コストを試算するものだそう。

これによって、輸送事業者は、これまで数値化できてなかった現状のコストと試算した見直し後の輸送コストを比較でき、変動する輸送環境に適した物流拠点や輸送経路の選定が可能になります。

RouteCreator(ルートクリエイター)

ビデオカメラやプリンターでおなじみのキャノンの連結子会社「キャノンITソリューションズ株式会社」が提供する、物流の効率化を支援するソリューションサービス。

顧客の実績データを参考に輸配送の最適化シミュレーションを実施し、その結果を基にして利用者に合わせた輸配送計画システムを構築してくれます。顧客それぞれの条件設定のチューニングを繰り返し、コスト削減構造を具現化。配送業務と最適化理論の両知識を備えた高いカスタマイズスキルを備えた技術者が「配車SIコア」をベースに構築を行うため、非常に効率のよいシステム導入が可能です。

このほかにも配送ルートを最適化するサービスが国内から続々と誕生しています。

現状の走行ルートを可視化することで改善につなげる

弊社が開発・提供しているクラウド車両管理サービス「SmartDrive Fleet」は、GPSによるリアルタイムの車両管理から細かな安全運転の支援までを丸ごとサポートするサービスです。

使い方も簡単なのでドライバーの負担は0。クラウド型サービスで、取り入れやすい安価な価格も魅力です。走行ルートを始め、ドライバーの走行データも収集し蓄積。もちろん荷待ち時間もしっかりトラッキングされていますので拘束時間や休息期間なども含め、最適化への近道を探ります。

まず、現状の走行ルートを見直して改善点を見直すことで、より効率的な配送が可能になるかもしれません。

配送ルートを最適化するために

このような問題を解決するには人の手だけではなく、コンピューターのシステム上で最適ルートの計算を速く吐き出せるアルゴリズムの改良やデータの構造を工夫する必要があります。

今後は最適ルートをデータとしてより早く的確に指示を出していくことで、配達業務へのストレスの軽減と効率化につながっていくとは思いますが、もちろん最適ルートといっても各事業者固有の制約や業務フローがあるので、単純にマップ上における最適ルートだけ出せば良いというわけではないのが難しいところですね。

いずれにしても、まだまだマニュアルに管理されているところは多々ありますので、物流業界のさらなる効率化と自動化は今後も注目すべき領域でしょう。

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